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ロックの部屋

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JULIAN COPE

ジュリアン・コープ『WORLD SHUT YOUR MOUTH』



【ティアドロップ・エクスプローズ】解散後、1984年に発表されたジュリアン・コープの初ソロ作品、『WORLD SHUT YOUR MOUTH』。

一言でいって明るく快活に満ちた、サイケポップアルバムに仕上がっている。ジュリアン・コープはどうやらティアドロップ・エクスプローズ時代は才能を持て余し気味だったようだ。バンドを離れて自分のやりたい音楽をやることに対する喜びに満ちている、そんなアルバムです。

1曲目の『BANDY’S FIRST JUMP』のジュリアンの声量感からギターのリフの刻みまでグイグイ前に主張する。

《BANDY’S FIRST JUMP》
♪君が見える
 そのままの君が
 君が分かる
 君の言うことが消えてしまう

 くるくる回る
 まるで回転花火のように
 来ておくれ

 僕の生活する場所へ
 たとえ愛することへの
 心の準備ができていなくても
 古い暖炉と
 車椅子があるから♪

ジュリアン・コープは数あるサイケデリックなアーティスト同様、ドラッグ体験からくるロックを創造している。この曲の中でも、《君がわかるけど君の言うことが消えてしまう》や《くるくる回る回転花火のように》といった表現にそれは表れている。ただ、それは体験から創造した作品として落としているものであって、理性はここでは保たれている。いわば、音楽を創造する段階としては最適な環境にいたと思われる。

「ELEGANT CHAOS」はアルバム中もっともポップで美しい。

《ELEGANT CHAOS》
♪君の眼差し
 それを僕に投げ掛けるときは
 ガードを固めさせてくれ
 この優美な混沌の中で
 僕は端っこに立つ♪

「HEAD HANG LOW」の世界は、すでにあっち側にいって佇んでいる自分の世界はとても美しい、一人佇むのもいいけど僕のように孤独にならないでと切々と訴えかける

孤独や虚無感、狂気といったものを、ポップでキャッチーなメロディーで歌い上げるジュリアン・コープの内面の世界は、ここで完成を見ている。

誰にでもある狂気と孤独、音楽の力を借りて共鳴できるという事は幸せでもあるし、癒される事でもあるのです。


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